すべての床にカーペットを
生産基盤の維持・整備にも注力
日本カーペット工業組合
理事長 吉川一三
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
皆様には平素より当組合の活動に対し、多大なるご支援とご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
2020年のカーペット業界は、多くの産業と同様に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、全体的な生産量は主力用途のタイルカーペットも含めて大きく低迷するなど非常に苦しみました。ただ、そのなかで近年不振が続いていた家庭用カーペットが、「巣ごもり需要」の盛り上がりにより復活の兆しを見せたのは、明るい話題といえるでしょう。
現在、当組合では〝カーペットはすばらしい〟を合言葉に、広報委員会を中心に様々な形でカーペットのある暮らしの魅力を発信し、需要振興につとめているところです。
昨年は、カーペットの魅力や選び方などをまとめたプロ向けカーペット資料「新訂カーペットはすばらしい」、消費者をターゲットにしたパンフレットなどを制作しました。いずれも今年初めから各方面に配布する予定にしています。ご説明が必要とあれば、業界内外問わず、ウェブも活用しながら対応いたしますのでお声掛けください。
さて、世界は今後もコロナに振り回され、2021年以降、日本経済への影響も続くとみられています。こうした状況で回復に向けた一つの道標とされるのが世界共通の目標「SDGs(持続可能な開発目標)」です。地球の危機を前に、私たちも社会的使命として企業規模の大小に関わらず、野心的な17の目標に取り組まねばなりません。
また同じように当業界自身の復活に向けて挑戦的な目標を立てるとすれば、「すべての床にカーペットを敷こう」となるでしょう。壮大なビジョンは人、組織を成長させます。SDGsと同じ2030年の達成を目指し、現実的な計画も立て、今後も様々な需要振興活動に取り組んで参ります。
当組合は、国内唯一のカーペット生産者団体です。需要振興に注力するのと同様に重要なのが、パイルヤーンなどカーペット原材料のサプライチェーンも含めた生産基盤の維持・整備です。染色や紡績など中小加工会社を取り巻く事業環境には、とくに配慮する必要があるでしょう。
実際、コロナによる生産減でいくつかの加工会社は業界からの撤退を余儀なくされました。まさに現場は正念場を迎えており、他の諸問題も含め、正会員・賛助会員がより一丸となって知恵を出し合い、対処していく所存です。
最後になりましたが、組合員の皆様、そして関係業界の皆様方には、本年もより一層のご支援とご協力を賜りますよう心からお願い申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。